STORY OF Flowrame-

食べたり作ったり、雑記も交えつつ

「無音」は最高の調味料

無音で感覚を研ぎ澄ます-。

 

「空腹は最高の調味料」的な言葉があるが、それに匹敵する位「無音」も最高の調味料になりえる。

 

食事をするとき、人間は五感を使って料理を味わう。味覚だけでなく、視覚も、聴覚も、嗅覚も、食感を味わう感覚も、すべて使っている。これらを最大限活用するためには「無音」の状況を作り出すのが手っ取り早い。

 

具体的には、食事の際のテレビを消したり、スマホから目を離したりなど、メディアから一旦離れると良い。無音と言っても、少々の生活音やBGMなどは問題ない。レストランで全くの無音だと逆に怖い。要は、片手間ではなく、目の前のものを味わうことに集中できる環境を作り出すのだ。

 

普段、料理が完成して「これ上手にできたな」という時は、食事の際なるべく無音にするようにしている。すると、香りの良さ、口に入れた時の味の広がり、噛んだ時の食感、心地よい噛み応えを表現する音、調味料の複雑な組み合わせ、隠し味に入れた調味料が奥にたたずむ様子がいつもより感じられる。いつも食べているものでも「あ、これってこんな味だったんだ」と新たな発見ができると思う。

 

空腹を作り出すためには、時がたつのを待ったり、運動して強制的に空腹を作り出したりなど、若干大変だと思う。対して無音を作り出すのは簡単だ。テレビを消すだけで完了する。それだけで、集中して、研ぎ澄まされる感覚を簡単に実践できる。

 

おそらく、これも「デジタルデトックス」の一種なのだと思う。確かに、あらゆる場面でこの集中できて、研ぎ澄まされた感じを維持出来たら、良い面はたくさんありそう。

 

ただ、注意点が一つある。今まで置いてある料理が美味しい前提で例を示したが、もし微妙なものだった場合、その微妙さも際立つことになる。料理を味わう感覚を尖らせると「なぜ目の前の料理が微妙なのか」も細分化して味わうことになる。それはそれで役に立つかもしれないが、空腹のように一様に料理がおいしくなる訳ではないことを留めておく必要がある。